社長メッセージ
木と歩む社会を支え続けます
当社は「木とともに未来を拓く総合バイオマス企業」を標榜する日本製紙グループの中で、木材の専門商社として原木、製材品、建材、製紙用チップからバイオマス燃料に至るまで、木に関するあらゆる商品を取り扱っています。また、商社機能にとどまらず、民間企業では全国2位の面積を持つ日本製紙社有林の維持管理を担当するなど、山林やそこから産出される木材と深く関わる事業を半世紀にわたって展開してまいりました。
当社と木材を取り巻く状況は、この半世紀で大きく変わろうとしています。当時は、旺盛な住宅の着工需要を受けて、海外から安価な木材の輸入が急増しました。海外材が市場で大きなシェアを占めるようになります。その傾向は長く今日まで続き、木材自給率の低さは国内林業の望ましい発展を妨げる一因になってきました。そのような状況の中、当社は他社と差別化した独自の強みを生かしたビジネスを育てるため、早くから国内材の優れた価値に注目し、その取扱い量の拡大に取り組んでまいりました。現在では当社が扱う木材の内、国内材の割合が金額比で約6割を占めるまでになりました。今後も更なる拡大を目指します。
もう一つの変化は、木質燃料の需要の高まりです。脱炭素の動きの中、再生可能エネルギーであるバイオマスを燃料とする発電所が各地で稼働しています。このバイオマス発電が普及するためには、燃料の安定供給が欠かせません。当社は、日本製紙グループの一員として製紙用チップの集荷網を全国に築いてきました。このネットワークを基盤に、燃料用チップ等様々なバイオマス燃料の集荷を強化しています。また燃料としてのチップは、製材品や製紙原料に向かない低質材の用途を広げ、これからの我が国の林業にも大きな影響を与える可能性を持っています。今後ますます発展が求められる分野であり、力を入れて事業に取り組んでいます。
当社が持つ強みは、これまでに培ってきた知見や集材・供給のネットワークを生かして「森林で育まれた一本の木を全て使い切る」ことができることです。この企業価値を将来に継承し成長を続けるためには、一人一人の社員がそれぞれの分野で、個性を伸ばして積極的に生き生きと仕事ができる環境を作ることが何よりも重要だと考え、人材の育成に注力しています。
当社は、ビジネス環境の変化を大きなチャンスと捉え、将来に向けて新たな成長へ邁進しています。再生可能な資源である木を扱うプロフェッショナルとして持続可能な社会の構築に貢献し、人々の生活をより豊かなものにできるよう、これからも日々努力してまいります。
代表取締役社長
井上 茂